池井戸 潤著 アキラとあきら

  • 2017.06.13 Tuesday
  • 22:13

 

9784198942304.jpg

 

姉母の入院、手術で待ち時間が多くなった頃に丁度良い本に出合った。

池井戸潤著「アキラとあきら」を読んだ。

新著のハード本を買うのは躊躇われたけれど、この本はいきなり文庫本で発売された。

ズシリと重く、1080円という価格が安く思えた。

 

どんな一日であっても、夜になるとこの本が読めると言うのは心が躍る楽しみになった。

池井戸潤と言えば銀行小説だ。

ところが本を読み始めた最初は、ふたりのあきらの生い立ちの説明が長く、珍しくハズレかと思いつつ読み始めた。

 

ふたりのあきら、山崎 瑛は倒産した町工場の息子、階堂 彬は大手海運会社の御曹司と真逆の環境で育った。

けれど、大学を卒業してからの進路は大銀行の就職を目指した。

入行時の研修では注目される粉飾決算書を作り、片やそれを見抜いてしまうと言う注目すべき役目を果たした。

このあたりから、待ってました池井戸さんと喝采したくなるような筆運びになった。

 

池井戸の本は全て読んでいるけれど、いつも想像を絶する展開をする

彬は、企業のことを考えず自分たちの業績だけのために強引に不必要な融資を迫る上司に反発。

瑛は、「企業を救いたい」と願うものの、現実的な問題から融資を都合できない案件に苦しんでいた。

その二人をつなぐキーワードは「カネは、人のために貸せ」という言葉だった。

 

次々に起きる難問題に知恵を絞って立ち向かう、熱い心を持つ銀行員の姿が清々しい。

日本の政治家にもアキラが一人くらい居てくれればとずーっと考えてしまった。

その後の展開は、是非本を読んで頂きたい。

 

7月にはWOWOでドラマ化が決まっている。

御曹司は向井 理 零細企業の息子役は斎藤 工

既に録画予約をした。

原作を超えるドラマを見た事はないので、期待はしていない。

 

この本を読んで思い出した本がある。

 

51aU50ErSOL.jpg

 

「井川意高著ー溶ける」

井川は大王製紙の御曹司で前会長、彬と同じ立場になる。

けれど、何が優秀な彼を狂わせたのか。

アキラは小説なので、常に安心して読める。

けれど、「溶ける」は現実の話で、きれいごとでは済まされない。

複数の自社関連会社から借り入れた総額100億円以上の大金をカジノで失った私的流用が発覚して、2011年11月東京地検特捜部に背任容疑で逮捕された。

2013年6月に懲役4年の実行判決で収監されている。

 

昨今カジノ論も盛んに論議されている。

「カジノは悪」というのではないけれど、この本も、参考になるのではと思う。

平松洋子著ー彼女の家出

  • 2017.01.24 Tuesday
  • 16:28

 

タイトルに魅かれて久しぶりに平松さんの本を読んだ。

所が「彼女の家出」も読んだけれど、何も覚えていない。

前半から半分は少しも面白くなくて、読む気が失せていた。

何故、こうも面白くないのかと考えると、幾分文章がくどくなっているように感じた。

小さなきっかけを大きな事件に書き上げる。

これは平松さんの得意技だけれど、私に余裕がないのか今回は中々馴染めなかった。

ところが、もう図書館に返そうかと思いかけた時に読んだ、第珪蓮峅蔀紊亮里道」で俄然面白くなった。

 

そこからは、断捨離の話に繋がる。

友人のスッキリしたクローゼットを見て驚いたところから話が始まる。

その友人は5秒ルールを決めて、捨てるか残すか5秒で決める。

それを実行するとクローゼットはスカスカになると教えてくれた。

 

平松さんが悩むのは下着の捨て時。

以前の本によると彼女の下着はオーダーかパリで買ってきたもの。

この本でも書いているけれど、捨てるには未練が残る想い出と価格であるとか。

フムフム、分かる分かると、膝を乗り出した。

 

あの下着はサンジェルマンで買ったものとか、捨てがたいレースがついているのだとか散々書いているけれど、最近少し緩くなっているらしい。

つまりゴム部分が緩んで、型崩れが始まっているという。

これを5秒ルールで捨てられるだろうか。

結果は平松さんの本を読んで下さい。

 

本の話が飛躍しすぎた。

けれど、下着の捨て時は誰しも悩むところらしい。

一寸、ググると下着は洋服以上に捨てがたいという意見が沢山出てきた。

潜在的に私もそう感じていた一人だったと気づかされた。

 

今回の平松さんの本は、そういう役目をしてくれた。

 

DSC_4604.JPG

 

 

 

 

宮本 輝著ー流転の海 第6部

  • 2016.12.20 Tuesday
  • 21:31

流転に海.jpg

 

 

この頃「この世界の片隅に」という映画がヒットしているらしい。

まだ見てないけれど、戦後の呉市で淡々と送る日常に共感を感じるということを聞いている。

それ以上に「流転の海」に書かれている戦後の市井の暮らしは、とてもリアルで、つい先年私の周りにあった日常である。

 

久しぶりに読む「流転の海」

 

しばらくは、なんとなく読んでいたけれど、数ページ読み進むとすっかり主人公熊吾の魅力の虜になった。

熊吾は、伸人(宮本 輝)の父親である。

平成の世に、どこを探してもこのような父親を見ることはないだろう。

50才で初めて息子を得た。その子は体が弱かった。その子を丈夫な子供にしたい、健全な教育を受けさせたい。

今では、それほど困難ではない願望も、終戦直後ではそうはいかない。

 

繊細な心で考え、大胆に実行する父親熊吾の子育ては、今の若い人とは違うだろうけれど親心に変わりはないのだから、若い子育て中の人に読んで欲しい本だ。

熊吾は、家族、仕事関係、知人友人、その周りの人たちに頼りにされ、熊吾は深い慈愛を注ぐ。

言葉は強いけれど、一言も無駄な言葉はない。

熊吾の言葉を拾って歩けば、まともな人間ができるだろう。

伸仁は体が丈夫になるころには、しっかりと自分で考え行動する子供に育っていった。

 

一例を言えば、伸仁は病気を理由に捨てられた伝書鳩のひなを自分の胸で温めて育てた。

誰もが1日と持たないだろうと思っていた鳩に工夫して練り餌を食べさせることに成功したからだ。

その練り餌を、どうすれば鳩の胃袋まで入れられるかと道具を工夫してくれたのは父親である熊吾だった。

見守る所と手伝う所の境目が、淡々と書かれた中から読み手に伝わる。

その鳩を手放す時、伝書場だから家に帰って来るだろう事は容易に想像できる。

それを教える熊吾、黙って聞いている伸仁。

その日が来ると伸仁は、以前遺骨を撒いた餘部鉄橋に一人で行って鳩を放した。

伸仁少年の成長、鳩との別れ。淡々とした日常。

してはいけない事、しなければいけない事。きちんと教えてくれる家族。

毎日、私が熊吾に育てられるようだ。

後3部で完結になるらしい。

惜しみながら読んでいるせいか3ページで眠り、目覚めて3ページで眠り、一晩中枕もとの灯りはついている。

 

 

宮本 輝著-流転の海

  • 2016.12.02 Friday
  • 18:19

最近又書店に行くようになって、久しぶりに宮本 輝の本に出会った。

流転の海」すでに8部まで出版されている。

この本の文庫は1990年に1部が出版されて次は何時出るのかさえ分からなかった。

ネットで検索すれば分かると今頃気がついたけれど。

見つけ次第に読み続けて、図書館通いをする内に暫く忘れていた。

その上何部まで読んでいるのかさえおぼろなのだ。

6部と7部があったが慌てて買ったら読んでいたと言う事になる。

図書館で検索すると既に読みつくされたと見えてすんなり借りられた。

 

IMG_0855.JPG

 

宮本 輝は私と同世代。

宮本の幼年時代は、「泥の河」の中で語られる。

戦後の日本は貧しく暗く、子供たちも世間の現実に直面しながら泥の中で生きるしかない。

その姿を書き切った。

泥の河 蛍河 道頓堀川

の3部作で既に承知している宮本の人生に「流転の海」で、改めてのめり込んでいる。

 

IMG_2212.JPG

 

この人の小説には、心深くをコヨリでクシュクシュとくすぐられ、いつの間にか涙が滲む。

残酷な現実を受け止めて、やるせなく読めるのが宮本輝の世界だ。

 

IMG_0877.JPG

 

今夜から久しぶりに宮本 輝の世界にのめり込める。

本は人生は何倍も楽しませてくれる。

 

 

池井戸 潤著-陸王

  • 2016.11.30 Wednesday
  • 16:36

 

陸王はズシリと持ち重りのする厚い本だった。

私の読書時間は眠る前、ゆっくり読もうと思ったけれど、昨夜はついにam2:00まで読んでしまった。

丁度これからはマラソンのシーズン。

この本を読んでからはマラソンの楽しみ方は俄然違ってくるだろう。

 

陸王は、行田市の足袋メーカーが業績の低迷からマラソンシューズを新規事業の柱にしようと頑張る姿を描いた本だ。

金融小説を得意とする池井戸らしく、新規事業には各所に銀行が出てくる。

中小企業の社長さんなら、身につまされる部分も多いのでは。

登場人物には一人の無駄も無く、ひとりひとりが生き生きと動いているし、役割に寄って深く感銘する言葉を持っている。

そのつど、肯きながら読んだ。

目標を持った人は思いがけない力を発揮する。

ヒューマンパワーに感動し、二転三転の結末までは一気読みになった。

 

DSC_2887.JPG

 

アメリカの小説家、マーク・トウェインは「真実は小説より奇なり」といった。

なるほど、と思う事もあったような気がするが、今は小説が面白い。

 

 

池井戸 潤の小説

  • 2016.11.15 Tuesday
  • 21:30

池井戸 潤の小説は片っぱしから読んでしまった。

と、思っていたし、中には面白くないものもあって、池井戸小説も飽きたかなあーと思う時もあった。

池井戸小説は銀行を中心とした金融小説が主で、銀行融資を通じて諸々のストーリーが展開する。

随分沢山読んだけれど、よくぞこれだけ考えたと思う場面展開で、重なるストーリーが全くない。

 

久しぶりに行った書店で平積みの文庫本の中に「かばん屋の相続」を見つけた。

京都の一澤帆布の相続争いが有名だった。

それがモデルになったのかと思ったけれど、どうだろうか。

読み始めると6つの短編集で「かばん屋の相続」はその最後に納められていた。

 

小説「かばん屋の相続」は、家業に関係してこなかった長男にかばん屋を譲り、実質、働いていた次男に相続させなかった理由は、小説の中では驚くべき結末として明かされた。

短編も読み進むと、弱者を応援したくなる。

蟻が象に挑むような場面では常に蟻の気持ちになり、象を倒すと安心して眠る。

痛快小説なので、3日もすると読み終わる。

 

DSC_3468.JPG

 

読み終えると急に喪失感が大きくなった。

陸王は気になっているけれど、文庫本になってないから買う気はないと意地を張ったけれど、今の気分はこの本を一番読みたい。

図書館で予約をすると136人中の136番だと分かった。来年中にでも読めないだろう。

意地も捨ててAmazonをぽちった。

お急ぎ便だから明日は届くだろう。

池井戸好きは一日で読んだと書いていた。

そんな事をしたら、その後はどうするのよ。

 

やっと、図書館になれたところなのに、またぞろ「書店恋しや」病が起きつつある。

 

 

 

高田 郁著ーあきない世傳金と銀(二)早瀬編

  • 2016.09.23 Friday
  • 19:52

暑い日が続くと読書もすすまない。

図書館への足も遠のき、書店廻りを始めたのも9月に入ってからだ。

 

そして、高田 郁著の「あきない世傳金と銀」の2巻目に出会った。

1巻は2月だったので半年ぶりになる。

嬉しくて睡眠不足になりながら読み終えた。

 

DSC_1957.JPG

 

私の中で今一番注目の作家が高田 郁である。

不思議な感性の持ち主で、心の襞を書かせたら高田郁の右に出る人はいないだろう。

どのページからも文字が飛び出してくる。

最後のページが見え始めると、もう3巻が待ち遠しくなる。

 

貧しくも賢い娘が、奉公先の呉服屋の御寮さんに迎えられる所から、急激に物語が展開を始める。

筋立てに緩急があり、読み飽きるとか中だるみをするとか言う事は全くない。

朝の時間を気にしなければ、一晩で読める。

ただ、勿体な過ぎて読み惜しみをして読了した。

 

 

励まされる言葉

  • 2016.06.15 Wednesday
  • 22:46
図書館にリクエストしていた「つると花3号」が届いた。なんと私が1番、新品の本は気持ちがいい。
手に取ると表紙に書かれた言葉が飛び込んできた。

DSC_9953.JPG

年齢なんてただの数字よ
ミシガン州デトロイト生まれ、87才のジャズシンガーの言葉。
彼女は今も、日本の関西、関東、ヨーロッパまでのコンサートは今年の9月まで詰まっているそうだ。
飛行機のシートはエコノミ―。
とてもそうは思えない風貌からパワーが伝わる。

私が実行している言葉があった。
「頼まれたらYES  誘われたらYES」
誘うのも誘われるのも楽しいものだ。
今更誘ってもらえるなんて嬉しい限り、断る理由が見つからない。
だから、いつもカレンダーは真っ黒。
毎日スケジュールが決まっていると言うのは、励みになるものだ。

あなたができること
できると夢見ることは
今すぐやりなさい

やってます、やってます。
老夫婦ふたり、明日はないかもしれないが合言葉
幸い、ふたりとも健康なようだから、体力を落とさないように、気を付けている。

DSC_9952.JPG

巻頭の写真は宇宙飛行士の向井千秋さんのお母様91才
毎日10000歩歩き、「外国なんて家の軒先よ」と、おっしゃる。
背筋を伸ばして歩く姿は70代にしか見えない。
後、20年こんな風に過ごせたらいいなあー。

生きる勇気を貰える雑誌だ。
 

高田 郁著ーあきない世傳

  • 2016.02.23 Tuesday
  • 20:21
高田.jpg

書店の横を通りかかると、高田 郁さんの新刊が山積みされていた。
頭の中に電流が走るほど嬉しい。
図書館でお借りしようとは思いもつかず、即買いとなった。
高田さんの新刊を手に取るのは1年ぶりくらいだろうか。

女性を中心に据えて、その一生に伴奏するように綴られれいるのが高田 郁の本である。
分かっちゃいるけど、この本をかかえてベッドに入るのはワクワクする。
1巻を読み終えただけだけれど。どうやら長編になる予感がする。

大阪の商い言葉がとても参考になる。
語源の発見をして驚く事もある。
読み飽きさせない高田 郁さんの本を是非にと、お薦めします。

 

幸田 真音著ースケープゴード

  • 2016.02.01 Monday
  • 21:39
甘利前経済再生相が辞任した。
たまたま、スケープゴードを読んでいたので、辞任の背景を小説風に眺めてしまった。

スケープゴードは、主人公の三崎皓子が、大学教授から閣僚になり、就任直後に起きた銀行の取り付け騒動を鮮やかに解決したことから、数か月で参議院議員になり官房長官になり、初の女性総理になるまでの物語である。
三崎が余りにずば抜けた才能を発揮するので、物語が簡単になり過ぎてしまった感がある。
幸田さんはこの小説の中に女性が仕事をする事、男性同等に仕事をすることの難しさも書き表わそうとしている。
女性がかかえる家事と老人介護の問題に触れながら、例え総理大臣になろうとする女性も家族のその問題から逃げる事は出来ない現実をかいている。
この本は、主題は政界内部を書いているけれど副題は女性が社会に進出する事の難しさに触れている。
それにしても、いきなり総理の座に駆け上がる女性を主人公にするのは大胆な発想だ。
三崎は硬直した日本の政界に投げ込まれるスケープゴード(生贄)なのか。
どうも、そこが消化不良の本になっている。

DSC_8149.JPG

たまたま、WOWOで昨年4月にドラマ化されていたので、読了の後で観た。
本以上に単純だった。
ではなぜ、この本を話題にするかと言うと、閣僚の秘書の存在が面白かったのだ。
外国の交渉と同じように、閣僚間のすり合わせは各政策秘書の間で事前にすませているし、会合があれば場所の設定、予約の全てを手配する。
どらえもんのようだ。
大きな事から、小さな事まで、つまり国際情勢から日本地図、レストランガイドまでが頭に入っている。
優秀な秘書は重宝がられる。今でも時々テレビに出てくる秘書さんは議員さん以上に幅を利かせている印象もある。

日本は、優秀な官僚と議員秘書が回しているんじゃなかろうか。
そうでなかったら、甘利前経済再生相を辞任させられなかっただろう。

DSC_8153.JPG

今日は、少し寒かったワン。


 

calendar

S M T W T F S
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031     
<< July 2017 >>

selected entries

categories

archives

recent comment

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM